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永井良 ファイナンシャルブログ

2026/09/10  20代の持ち家率40.7%!50年ローンは大丈夫?

※「40.7%」は、世帯主が29歳以下の二人以上世帯における2025年の持ち家率です。
最近、「若い世代の住宅購入が増えている」というニュースを目にするようになりました。
総務省の「家計調査」によると、2025年の世帯主が29歳以下の二人以上世帯における持ち家率は40.7%となっています。
2005年は19.5%でしたので、この20年間で約2倍に上昇したことになります。
ただし、この40.7%という数字には注意が必要です。これは一人暮らしを含めた「20代全体の4割が持ち家」という意味ではなく、世帯主が29歳以下の「二人以上世帯」を対象とした数字です。
それでも、若くして家庭を持つ世帯の中で、早い段階からマイホームを持つ割合が大きく上昇していることは興味深い変化です。

なぜ若いうちに住宅を購入する人が増えているのか?

その背景の一つとして考えられるのが、近年の物価や住宅価格の上昇です。
「数年後には、今より住宅価格が高くなっているかもしれない」
「住宅ローン金利もこれから上がっていくのではないか」
こうした状況を考えると、「頭金が貯まるまで待つより、購入できるのであれば早く買いたい」と考える方が増えるのも不思議ではありません。
実際、住宅ローンの借入金利にも変化が出ています。
住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者調査(2026年1月調査)」では、借入金利が年0.5%以下だった人の割合は、2025年4月調査の26.6%から2026年1月調査では13.1%まで低下しています。
一方、「年1.0%超~年1.5%以下」は13.0%から19.2%へ上昇しています。住宅ローン金利の上昇が、実際の借入にも表れ始めています。

住宅ローンは「35年」が当たり前ではなくなってきた

もう一つ大きく変化しているのが、住宅ローンの返済期間です。
住宅金融支援機構の2026年1月調査によると、住宅ローンの返済期間は次のようになっています。
・30年超~35年以内 38.9%
・35年超~40年以内 17.9%
・40年超      5.5%
つまり、住宅ローン利用者の23.4%、約4人に1人が「35年を超える住宅ローン」を利用しています。
2022年10月調査では35年超の住宅ローンを利用していた人は9.5%でしたので、数年間で住宅ローンの長期化が進んでいることが分かります。
最近では、40年だけでなく50年返済の住宅ローンを取り扱う金融機関もあります。
20代であれば、50年ローンを利用しても完済年齢は70代です。返済期間を長くすれば毎月の返済額を抑えられるため、住宅価格が上昇する中では、若い世代が住宅を購入するための選択肢の一つになります。

ペアローン・フルローン・50年返済は悪いものではありません

住宅価格が高くなっている現在、
「夫婦の収入を合わせてペアローンを組む」
「頭金をあまり入れず、購入価格のほとんどを住宅ローンで借りる」
「35年ではなく40年、50年で住宅ローンを組む」
という選択をする方も増えていくと思います。
私は、これらの方法自体が悪いとは考えていません。
特に20代で住宅を購入する場合、頭金を貯めるために何年も待っている間に住宅価格や金利が上昇してしまえば、結果的に購入条件が悪くなる可能性もあります。
また、手元のお金をすべて頭金として使ってしまうより、ある程度の預貯金を残しておくことが必要な家庭もあります。
大切なのは、「借りられるかどうか」ではなく、「将来も無理なく返していけるかどうか」です。

50年ローンなら「50年間かけて返す」前提で考えない

例えば、30歳で50年の住宅ローンを組めば、契約上の完済年齢は80歳になります。
毎月の返済額だけを見れば、35年返済より50年返済の方が負担は小さくなります。しかし、60歳や65歳を過ぎても住宅ローンが多く残っている状態が、自分たちのライフプランに合っているとは限りません。
そこで考えておきたいのが、「何歳までに、どのくらい住宅ローンを減らしておきたいのか?」ということです。
50年で借りたとしても、収入や貯蓄に余裕が出てきた段階で繰り上げ返済を行うことはできます。
例えば、
・子どもが小さいうちは手元資金を確保する
・教育費が落ち着いてから繰り上げ返済を増やす
・60歳時点の住宅ローン残高を○○万円以下にする
など、あらかじめ長期的な返済計画を考えておくことが重要です。

ペアローンで特に考えておきたい「共働きが続かなかった場合」

そして、もう一つ注意していただきたいのがペアローンです。
夫婦それぞれの収入を前提に住宅ローンを組むことで、1人で借りるよりも購入できる住宅の選択肢は広がります。
しかし、現在の収入が今後30年、40年と続くとは限りません。
例えば、
・出産や育児で一時的に一人の収入になる
・時短勤務によって収入が減少する
・転職する
・子どもの教育費が想定以上にかかる
・病気や介護などで働き方が変わる
といったことも考えておく必要があります。
共働きであれば問題なく返済できる住宅ローンでも、一時的に世帯収入が大きく減ったときには、家計に占める住宅ローンの負担は一気に大きくなります。
住宅を購入するときには、「現在の世帯年収ならいくら借りられるか」だけではなく、こうした将来の変化まで考えることが大切です。

住宅購入の前にライフプランシミュレーションを

20代で住宅を購入することが悪いわけではありません。ペアローンも、フルローンに近い借入も、50年返済も、上手に利用すれば住宅購入の有効な選択肢になります。
ただし、住宅ローンは数十年間続く契約です。
住宅を購入する前に、
・今後の収入はどう変化するのか
・出産や育児で収入が減った場合でも返済できるのか
・子どもの教育費はいくら必要なのか
・毎年どのくらい貯蓄できるのか
・どのくらいのペースで繰り上げ返済できるのか
・60歳、65歳時点で住宅ローンはいくら残っているのか
・老後資金を確保できるのか
といったことを一度数字にしてみることをお勧めします。
「住宅価格が上がりそうだから早く買おう」「50年ローンなら毎月の返済額を抑えられるから大丈夫」という判断だけではなく、住宅購入後の30年、40年、50年まで含めたライフプランを確認したうえで、それでも「今購入すること」が自分たちに合っているのかを考えることが大切です。
住宅は人生の中でも非常に大きな買い物です。だからこそ、「いくら借りられるか」から住宅を選ぶのではなく、まずは自分たちの将来の生活から「いくらなら無理なく返していけるか」を考えてみてはいかがでしょうか。

参考資料

・総務省「家計調査(家計収支編)2025年平均」2026年2月6日公表
・住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2026年1月調査)」2026年2月20日公表