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永井良 ファイナンシャルブログ

2026/10/01  50年住宅ローンは大丈夫?借りる前に考えたいライフプラン

最近、住宅ローンを取り巻く環境が大きく変わってきています。
これまで住宅ローンといえば「35年返済」が一般的でしたが、最近では40年、50年といった長期間の住宅ローンを取り扱う金融機関が増えてきました。
50年返済を利用すれば、返済期間を長くすることで毎月の返済額を抑えることができます。
住宅価格が上昇している現在、特に若い世代にとっては、住宅購入の選択肢を広げるメリットがあります。
私は、50年住宅ローンそのものが悪いとは考えていません。
ただし、「毎月の返済額が安くなるから」という理由だけで50年返済を選択することには注意が必要だと考えています。

金融庁も40年・50年の住宅ローンを注視

2026年9月8日、片山さつき財務大臣兼金融担当大臣は、40年・50年といった超長期住宅ローンについて言及しました。
特に変動金利型については、将来金利が上昇した場合、毎月の返済額や総返済額が大きく増える可能性があります。
こうしたリスクについて利用者が十分に理解することの重要性に加え、金融機関による利用者への説明や審査体制についても、金融庁として注視していく考えが示されています。
住宅ローンの返済期間が長期化している現在、単に「今、返済できるか」だけではなく、将来の家計まで考えて住宅ローンを選択することが、これまで以上に重要になっています。

5,000万円を35年と50年で借りると、どれくらい違う?

具体的な数字で考えてみましょう。
仮に5,000万円を年3.5%の全期間固定金利、元利均等返済、ボーナス返済なしで借りたとします。

 35年返済50年返済
毎月返済額約20万7,000円約17万7,000円
総返済額約8,679万円約1億596万円
支払利息約3,679万円約5,596万円

50年返済にすることで、毎月の返済額は約3万円少なくなります。
住宅購入を検討しているとき、この「毎月3万円の差」は非常に大きく感じると思います。
一方で、そのまま完済まで返済を続けた場合、総返済額は35年返済と比べて約1,917万円多くなる計算です。
つまり、50年返済には、「毎月の返済額を抑えられる」というメリットと、「長期間返済を続けるほど支払利息が増える」という側面の両方があるということです。
※上記は金利が全期間3.5%で変わらないものとして計算した概算です。実際の返済額は金融機関の商品内容や返済条件等によって異なります。

「今の家賃と同じくらいだから大丈夫」と考えていませんか?

住宅を購入するとき、多くの方が現在支払っている家賃と住宅ローンの返済額を比較します。
例えば、
「今の家賃が15万円だから、住宅ローンも月15万円くらいなら大丈夫だろう」
と考えることは、ごく自然なことです。
50年返済を利用すると、35年返済より毎月の返済額を低くできます。
そのため、同じ毎月返済額でも、より高額な住宅を購入できる可能性があります。
住宅を販売する側から見ても、月々の返済額を低く提示できれば、購入者に住宅を提案しやすくなるでしょう。
しかし、本当に重要なのは「今の家賃と住宅ローンの返済額が同じかどうか」だけではありません。
住宅ローンを返済している数十年間には、さまざまなことが起こります。
子どもの教育費が増える時期があります。
車の買い替えもあるでしょう。
住宅そのものにも、将来的には修繕費が必要になります。
収入が増えることもあれば、転職や働き方の変化によって収入が減る可能性もあります。
そして、いずれは定年を迎えます。
例えば30歳で50年住宅ローンを組めば、契約上の完済年齢は80歳です。
「現在払えるか」だけではなく、10年後、20年後、30年後にも家計を維持できるのかを考える必要があります。

元銀行員として感じること

私は以前、銀行に勤務していました。
その経験からも、住宅ローンを考える際には非常に重要だと思っていることがあります。
それは、
「銀行が貸してくれる金額」と「その家庭が将来にわたって無理なく返せる金額」は、必ずしも同じではない
ということです。
金融機関は住宅ローンを融資する際に審査を行います。
しかし、その家庭で今後どれくらい教育費が必要になるのか、何歳まで働くのか、老後にどれくらいのお金を残しておきたいのかといった人生全体の資金計画まで、住宅ローン審査だけですべて把握することはできません。
だからこそ私は、40年、50年という長期の住宅ローンを利用する場合には、住宅ローンの商品説明だけではなく、事前にライフプランシミュレーションを行うことが非常に重要だと考えています。
個人的には、超長期の住宅ローンを提案する際には、将来の家計まで確認できるライフプランシミュレーションを行う仕組みが、今以上に重視されてもよいのではないかと感じています。

50年ローンは「50年間そのまま返す」と考えなくてもいい

ここは非常に大切なところです。
50年住宅ローンを利用したからといって、必ず50年間そのまま返済し続けなければならないわけではありません。
例えば、若いうちは返済期間を長く設定して毎月の負担を抑える。
そして収入が増えたり、子どもの教育費負担が軽くなったりしたタイミングで繰上げ返済を行う。
あるいは、退職する年齢から逆算して、
「60歳までに住宅ローン残高を○○万円まで減らす」
といった目標を設定する方法もあります。
つまり50年ローンを利用するのであれば、重要なのは「借りるとき」だけではなく「どう返していくか」という出口まで考えておくことです。

だからこそ、住宅購入前にライフプランを

住宅は人生の中でも特に大きな買い物です。
そして住宅ローンは、数十年間にわたって家計に影響を与え続けます。
だからこそ住宅を購入する前に、

・子どもの教育費はいくら必要になるのか
・今後の収入はどのように変化するのか
・何歳まで働く予定なのか
・退職時に住宅ローンはいくら残っているのか
・老後資金はいくら準備できるのか
・いつ、どのくらい繰上げ返済をするのか
・金利が上昇した場合でも返済を続けられるのか

こうしたことを一度、数字にして確認してみることが大切です。
50年住宅ローンには、毎月の返済額を抑えることができるという大きなメリットがあります。
そのメリットを上手に利用すること自体は、決して悪いことではありません。
しかし、
「50年借りられる」ことと、「50年間無理なく返せる」ことは別の話です。
住宅会社や金融機関から「この金額まで借りられます」と言われて住宅を決めるのではなく、自分たちの人生から逆算して、
「自分たちは、いくらなら安心して返していけるのか」
を考えてから住宅を購入する。
その判断材料になるのが、ライフプランシミュレーションです。

これから住宅を購入される方、特に40年・50年という長期住宅ローンを検討されている方には、住宅を決める前に一度、将来の家計まで含めたライフプランを作成していただきたいと思います。